SIerの残業が少ないホワイト企業ランキング【2024年】|現役SIerエンジニアが解説

SIerの残業が少ないホワイト企業ランキング

「SIerの残業時間は長い」そんな先入観を持っていませんか?

たしかにSIerの平均残業時間は月30時間を超えていますが、企業によって働き方の環境は大きく異なります。
月残業10時間程度のホワイト企業も存在し、長時間残業を避けられる選択肢もあるのです。

この記事では、SIerの残業実態をランキングでお伝えし、残業が多い理由や対策、ホワイト企業の見分け方まで現役のSIerエンジニアがくわしく解説します。

この記事でわかること
  • SIerの残業時間は平均が月30.5H。国内会社員の全体平均が月12.9Hであることを考えると比較的残業が多い
  • 今回の調査では、残業時間が最多の野村総合研究所では月47.2H、最小のサーバーワークスでは11.9Hと、4倍近い差があった
  • ホワイト企業を見分ける際には、残業時間や有休消化率だけでなく、企業文化や働き方についても調査することが重要
目次

SIerの平均残業時間ランキングTOP25|全体平均は30.5H

SIer業界における平均残業時間のランキングをまとめました。

このデータは、ITメディアPublickeyの開発系SIerランキングTOP25の企業を対象に、実態を把握するために口コミサイトであるenライトハウス・転職会議・openworkそれぞれのデータをリサーチして平均値を算出しています。

スクロールできます
順位企業名平均残業時間
(H)
有休消化率
(%)
平均年収
(万円)
従業員数
1サーバーワークス11.984.6686224
2テラスカイ22.672.9622488
3SHIFT22.770.86053247
4BIPROGY24.469.48164442
5SCSK24.782.67478470
6さくらケーシーエス25.063.4633970
7ビジネスエンジニアリング26.253.2830521
8ソリトンシステムズ27.262.6670615
9日本電気(NEC)28.956.184322036
10SBテクノロジー29.069.2757918
11BeeX29.076.7739140
12TIS29.363.17525695
13ラック30.252.86541657
14テクマトリックス30.957.078754
15富士通31.359.387935092
16NTTデータ31.783.186712714
17日鉄ソリューションズ33.466.38703563
18伊藤忠テクノソリューションズ33.761.610294784
19ネットワンシステムズ34.256.77662261
20電通総研34.858.211281842
21アイティフォー34.836.1684457
22大塚商会35.341.98577524
23東計電算41.154.4580818
24オービック42.541.210061888
25野村総合研究所47.253.812426782
SIerの平均残業時間ランキング

全体の平均残業時間は約30.5時間でした。厚生労働省による国内企業の一般労働者の平均残業時間が12.9時間であることから、SIer業界では比較的残業が多い傾向にあります。

ランキングの結果、SIer企業間で残業時間や有休消化率にかなり開きがあることがわかります。

最多の野村総合研究所では月47.2時間最小のサーバーワークスでは11.9時間と、4倍近い差が出ています。

有休消化率に関しても、野村総合研究所では53.8%にたいしてサーバーワークスでは84.6%で約30%の開きがあり、SIerの勤務環境は企業によってかなり異なることがおわかりいただけるでしょう。

就職や転職を考える際には、これらのデータを参考にしながら、自身のワークライフバランスに合った企業選びをすることが重要です。
残業時間が少なく、有休消化率が高い企業は、従業員の働きやすさを重視しているホワイト企業と言えるでしょう。

参考:IT系上場企業の平均年収を業種別にみてみた 2023年版|Publickey
参考:EDINET|金融庁
参考:毎月勤労統計調査令和6年1月分結果速報|厚生労働省

SIerで残業が少ないホワイト企業3選

今回の調査で残業時間が少なく、また有休消化率も高いホワイト企業だと言える企業を3社紹介します。
上位3社は「サーバーワークス」「テラスカイ」「SHIFT」という結果でした。

サーバーワークス

出典:サーバーワークス

サーバーワークスは、残業時間が月11.9時間と調査対象企業の中で最も少ない一方、有休消化率は84.6%と非常に高くなっています。

同社はITインフラ構築を主力事業としており、とくにAWS(Amazon Web Services)の構築や運用の支援が強みです。
受託開発業務が中心となるため、プロジェクト管理がしっかりしていることが低残業時間につながっていると考えられます。

また、平均年収686万円と高水準であることも魅力的です。

テラスカイ

出典:テラスカイ

テラスカイは、残業時間は月22.6時間と業界平均を下回り、有休消化率も72.9%と高水準です。

クラウドインテグレーションを主力とする企業で、大手企業を中心にSalesforceを中心としたソリューション提供に強みを持っています。

  • 残業時間: 22.6時間
  • 有休消化率: 72.9%
  • 平均年収: 622万円
  • 従業員数: 488人
  • 公式:https://www.terrasky.co.jp

SHIFT

出典:SHIFT

SHIFTは品質保証サービスを提供する企業で、残業時間は月22.7時間、有休消化率は70.8%となっています。

  • 残業時間: 22.7時間
  • 有休消化率: 70.8%
  • 平均年収: 605万円
  • 従業員数: 3247人
  • 公式:https://www.shiftinc.jp

これらの企業は、SIer業界において比較的残業が少なく、有休を取得しやすい環境が整っていると言えるでしょう。

企業の公式サイトや求人情報を確認することで、より詳細な情報を得られます。
ホワイト企業を見分ける際には、残業時間や有休消化率だけでなく、企業文化や働き方についても調査することが有効です。

SIerの残業が多い4つの理由

冒頭で紹介した通り、今回の調査での全体の平均残業時間は約30.5時間でした。

厚生労働省による国内企業の一般労働者の平均残業時間12.9時間と比べると、SIer業界では比較的残業が多い傾向があります。

では、なぜSIer業界はこんなに残業が多いのでしょうか。
考えられる主な理由は以下の4つです。

  • プロジェクト工程のピーク時期の作業量の偏り
  • 高品質と短納期の要求
  • ベテラン人材の不足と開発知識の継承のハードルが高い
  • そもそもIT業界は全体的に人手不足

それぞれ解説します。

プロジェクト工程のピーク時期の作業量の偏り

SIer業界ではシステム開発プロジェクトが中心です。

要件定義〜設計〜開発〜テストと進むプロジェクト工程の中で、とくに開発やテスト工程ではピーク時期に作業が集中しがちです。
人員が不足しているとそのピーク時期に長時間残業が発生します。

高品質と短納期の要求

SIerの受託開発では、顧客から高品質と同時に短納期が求められることが多くあります。

しかしスケジュールや予算に余裕があるプロジェクトはなかなか無く、開発の作業工数はギリギリでさらに要件変更などで見積を上回る場合には、期限に間に合わせるために残業が必要となってしまいます。

ベテラン人材の不足と開発知識の継承のハードルが高い

IT技術は日進月歩で進化し続けています。
SIerでは最新の技術をキャッチアップする必要があり、その知識を新人にいかに早く継承できるかが課題です。

ベテラン不足が続く場合、残業でその差を補おうとするケースが多々あります。

そもそもIT業界は全体的に人手不足

IT人材の需要が常に供給を上回っている状況が続いています。

経済産業省によると、IT人材は2030年には16万人から79万人ほど不足すると見込まれているほどです。
SIerだけでなく、IT業界全体で人手不足が慢性化しており、限られた人員で対応せざるを得ず、結果として残業につながっている側面があります。

参考:IT人材育成の状況等について|経済産業省

このように、SIer業界特有のプロジェクトの進め方や、システム開発の特性、加えてIT人材需給の構造的な問題から残業が生じやすい環境にあります。

企業側も残業削減に努力はしていますが、100%ゼロにすることは現実的に難しい状況というのが実態です。

SIerでの長時間残業を避ける3つの方法

SIerでの長時間残業を避けるためには、以下の3つの方法が効果的です。

  • ホワイトなSIer企業を見極めて就職/転職する
  • SIer以外(社内SE)で働く
  • フリーランスエンジニアとして独立する

ひとつずつ解説します。

ホワイトなSIer企業を見極めて就職/転職する

残業を減らすためには、個人のスキルアップや働き方の工夫も大切ですが、それだけでは限界があります。
とくに、周囲の人が慢性的に長時間労働している環境では、同調圧力により残業を避けることが難しいです。

そのため、残業時間が少なく、ワークライフバランスを重視する企業文化を持つホワイト企業を見極めて就職や転職をすることが重要です。

ホワイト企業を見極めるには、IT業界に強みを持った就活エージェント・転職エージェントのサポートを得ることも良いでしょう。

就活エージェントや転職エージェントは、無料で利用できて(エージェントは利用者でなく企業から報酬を得る仕組みなため)、IT業界にくわしい担当者から最新の業界動向や選考に対するアドバイスなどのサポートを受けられます。

SIer以外(社内SE)で働く

SIer特有のプロジェクトベースの仕事ではなく、社内SEとして働くことで、残業時間を抑えられます。

社内SEは一般的に、社内のシステム運用や改善に関わることが多いです。
また、プロジェクトの納期も調整がききやすいため追われることが少なく、比較的残業を抑えられるでしょう。

フリーランスエンジニアとして独立する

自分自身で仕事をコントロールし、プロジェクトを選ぶ自由を持つことで、長時間労働を避けられます。

フリーランスとして独立することで、自分のライフスタイルに合わせた働き方を実現することが可能です。
ただしフリーランスには実務経験やスキル、自己管理能力が求められるため、その点を考慮する必要があります。

これらの方法を通じて、SIer業界での長時間残業を避け、健康的なワークライフバランスを実現することが目指されます。
ただし、どの方法も一長一短があり、個々の状況や価値観に合わせて選択することが大切です。

SIerで残業が少ないホワイト企業を見分ける2つの方法

理想としては、興味がある企業で実際に働いている、または過去に働いていた人に直接聞けるのが1番良いでしょう。

しかし、知り合いに該当者がいない場合が多いはずです。
SNSなどでも情報は得られますが、偏りがあり信憑性にも疑問があります。

そこで、より効率的で正確な情報収集方法として、以下の2つのサービスを活用することがおすすめです。

口コミサイトでのリサーチ

転職口コミサイトには、現役社員や元社員からの生の声が数多く投稿されています。
「企業文化」「入社してからのギャップ」「ワークライフバランス」など、勤務実態に関する項目が設けられており、企業ごとの評価を参考にできます。

代表的なサイトは「enライトハウス」「転職会議」「openwork」などです。
複数のサイトで検索し、口コミの内容や評価を比較することで、企業の実情をある程度推し量ることができます。

IT業界に強いエージェントの活用

就職エージェントや転職エージェントでは、キャリアカウンセラーが企業の実情をくわしく把握しています。
中にはIT業界特化型のエージェントもあり、そういった専門家に相談すれば、残業状況に関する詳細な情報が得られるためおすすめです。

たとえば、就活エージェントだと「レバテックルーキー」「エンジニア就活」あたりが有名です。
転職エージェントだと、「マイナビITエージェント」や「レバテックキャリア」は、ITエンジニア特化型の転職エージェントとして知られています。

カウンセラーの深い見識を活用しながら、自分に合ったホワイト企業を検討できるでしょう。

そもそも自分に適性があるのはSIerだけではないかもしれません。
将来のキャリアプランを考える上で、有識者のサポートを得ることは重要です。

口コミサイトとエージェントをうまく活用し、ホワイト企業を見つける絶好の機会を逃さないようにしましょう。

まとめ|SIerの残業実態を見極めてホワイト企業を見つけよう

この記事では、以下のことがわかりました。

  • SIerの残業時間は平均が30.5H。国内会社員の全体平均が12.9Hであることを考えると比較的残業が多い
  • 今回の調査では、残業時間が最多の野村総合研究所では月47.2H、最小のサーバーワークスでは11.9Hと、4倍近い差があった
  • ホワイト企業を見分ける際には、残業時間や有休消化率だけでなく、企業文化や働き方についても調査することが重要

SIerは高年収が期待できる反面、現状では長時間労働に従事するリスクも高い職種です。
一方で労働環境の良い企業に出会えたら、長期的なキャリア形成につなげられます。

働きやすい環境を見極め、ホワイト企業を見つけられるよう願っています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

国内大手SIerに新卒入社し、現在もプロジェクトマネージャーとして働いています。
自社製品開発・受託開発、企画〜開発〜運用保守まで幅広く経験してきました。
ワーママとして日々忙しく働きながらも、なんとか充実した生活を送れています。
実際に働いているからこそわかるリアルな情報や、私自身が転職活動を通じて得たIT業界の知識をわかりやすく発信していきます。

目次