SIerからの転職先と失敗しないポイントを現役SIerエンジニアが徹底考察

SIerからの転職

SIerから転職を検討している方の中には、今後のキャリアに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

「技術を磨きたいけれど機会が少ない」「裁量権が狭く物足りない」「ワークライフバランス面で不満がある」など、さまざまな理由からSIerを去りたいと考えている人も少なくありません。
一方で、SIerで培った経験や知見は大きな強みです。

この記事では、現役SIerエンジニアの視点から、SIerから転職する理由にはじまり、キャリアを活かせる職種や転職に失敗しないポイントまでを徹底解説していきます。

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この記事でわかること
  • SIerから転職したい理由は「やりがいを感じない」「将来性が不安」「スキルが身につかない」などがある
  • SIerのキャリアを活かした転職先は「自社開発企業」「コンサルティングファーム」「事業会社(社内SE)」などが挙げられる
  • SIerからキャリアチェンジして「フリーランス独立・起業」「公務員・教員」「異業種への転職」などの選択肢もある
  • SIerからの転職に失敗しないためには「キャリアプランの検討」「転職エージェントの活用」「口コミサイトの活用」が重要
目次

SIerから転職したい理由|独自調査の結果

当メディアが行った独自調査では、SIerから転職を希望する理由は年代によって異なることがわかりました。

20代:「スキルが身につかない(24%)」「やりがいを感じない(21%)」「残業が多い(18%)」が上位の理由となっていました。

30代:「やりがいを感じない(37%)」と「将来性が不安(27%)」「企業文化が古い(14%)」が1位〜3位でした。キャリアの中盤に差し掛かり、今後のことを見据えた不安から転職を検討する人が多いようです。

40代/50代:「早期退職が好条件(26%)」が最多の理由でした。SIer業界では早期退職で退職金の上乗せなどの制度があり、それが転職のきっかけとなる人もいることがわかります。

年代を問わず「やりがいを感じない」がSIerを辞める大きな理由となっており、勤務環境への不満の表れと言えるでしょう。

一方で、「給料が安い」という理由は全年代で見受けられませんでした。
収入面での不満が少ない点も、SIer転職の特徴の1つだと考えられます。

SIerの退職理由

※分析対象は従業員数が多い主要SIer3社(富士通・日本電気・NTTデータ)とし、転職口コミサイト(転職会議・openwork)に掲載された退職理由を年代別にランダムで計60件集計

年代により傾向はあるものの、SIerから転職する理由は人それぞれです。

自分なりの転職理由をしっかりと把握することが、自分に合った転職先を見つける第一歩となります。
自分自身の想いを正しく理解し、新たなキャリアを切り開いていくことが大切です。

次では、SIerからの転職先の選び方を見ていきましょう。

SIerからの転職先の選び方

SIerからの転職先の選び方で重要なのは、自分自身がなぜ転職したいのかを明確にし、その理由に応じた転職先を選択することです。

以下の2つの視点から転職先を検討する方向性を考えてみましょう。

  • SIer経験を活かせる転職先
  • SIerから思いきってキャリアチェンジ

それぞれ解説します。

SIer経験を活かせる転職先

「スキルが身につかない」と感じている場合は、自社プロダクトの開発企業やSES企業に転職し、SIerで培った上流工程の知見を生かしつつハンズオンの開発スキルを伸ばしていきましょう。

「やりがいを感じない」という理由なら、たとえば自分が興味のある業界の企業の社内SEとして転職するのがおすすめです。
SIerでの経験を活かしながら、自身の強い関心のある業務に携われば、新たなやりがいが見出せるかもしれません。

このように、SIerで身につけたスキルや経験を最大限に生かせる転職先を選ぶことで、キャリアアップを実現できます。
自分自身を深く理解して、潜在能力を十分に発揮できる環境を見極めましょう。

SIerから思いきってキャリアチェンジ

SIerでの仕事に満足していない、またはまったく異なる分野に興味がある場合は、キャリアチェンジを考えることもひとつの選択肢です。
今までの経験を活かしつつ、新しい業界や職種に挑戦することで、自身の可能性を探れます。

SIerからの転職は、自分のキャリアを見つめ直し、新たな可能性に挑戦する絶好の機会です。
キャリアチェンジを検討する際には、自分の価値観に合った転職先を見つけ、情熱を持って取り組むことが重要です。
どの道を選ぶにしても、計画的に行動し、自分自身を信じることが成功のポイントとなります。

次では、SIerでのキャリアを活かした転職先の選択肢を見ていきましょう。

SIerのキャリアを活かしたおすすめの転職先

SIerのキャリアを活かした転職先の候補として、以下が挙げられます。

  1. 中堅SIerから大手SIer
  2. SIerから自社開発企業
  3. SIerからコンサルティングファーム
  4. SIerからSES企業
  5. SIerから事業会社(社内SE)
  6. SIerからゲーム開発会社
  7. SIerからIT営業職

ひとつずつ解説します。

1.中堅SIerから大手SIer

中堅SIerから転職する場合、SIerでの経験を活かした転職先として、まず大手SIerへの転職が考えられます。

SIerの多重下請け構造

ここでは、中堅SIerで培った技術的な知見を、より大規模なプロジェクトに応用することが可能です。
大手SIerでは、年収も中堅SIerより高く、600万円以上が一般的であり、特定の技術分野における専門性を活かせるでしょう。

2.SIerから自社開発企業

自社開発企業への転職もひとつの選択肢です。

自社製品の企画から開発、運用まで一貫して関わることができ、製品の成功によっては年収が800万円程度にも上る可能性があります。

SIerでの技術力を基に、よりクリエイティブな製品開発に挑戦できます。

3.SIerからコンサルティングファーム

ITコンサルタントへの転職は、SIerでのシステム開発経験を活かし、企業のIT戦略立案やシステム導入支援などのコンサルティング業務に従事する道です。

年収は700万円から1000万円以上と高く、業務プロセスの理解やプロジェクトマネジメント能力が重要です。

昨今のコンサルティングファームは、情報化構想や企画工程などの超上流工程だけでなく、開発・導入〜運用までワンストップで対応するビジネスモデルが増えています。
そのため、SIerでのプロジェクトマネジメント経験を持つ人材のニーズが高まっています。
たとえば、アクセンチュアなどがその代表例です。

参考:アクセンチュア株式会社(Accenture Japan Ltd)

4.SIerからSES企業

SES企業への転職では、クライアント先でのシステム開発や運用支援を行い、年収は500万円から700万円のレンジが一般的です。

SIerでの技術力とコミュニケーションスキルを活かし、多様な環境での開発経験を積めるため、システム実装スキルを磨けるでしょう。

SIerとSES企業それぞれで身につけられるスキルについて、以下の記事でくわしく解説しています。
興味がある方は読んでみてください。

5.SIerから事業会社(社内SE)

社内SEとしての転職は、企業内の情報システム部門でシステムの開発・運用・管理を行う職種で、年収は500万円から800万円ほどが相場です。

SIerでのシステム運用経験を活かし、企業内のIT環境を支える重要な役割を担います。

6.SIerからゲーム開発会社

ゲーム会社への転職も視野に入れられます。

ゲームに対する深い理解と情熱、高度なプログラミング力が必要ですが、SIerの開発経験を活かせば高負荷・高信頼性が求められるゲーム開発に従事できる可能性などがあります。

年収は400万円から700万円前後が相場です。

7.SIerからIT営業職

最後に、ITソリューションやサービスの提案営業職への転職も選択枝のひとつとなります。

SIerでの現場経験と技術知識を武器に、的確な商談活動を推進できるでしょう。
システム知識に加え提案力や交渉力が求められ、年収は500万円から1,000万円程度が目安とされています。

このようにSIerからの転職は、これまでの経験を十分に活かせる幅広い職種があり、自らのキャリアプランと適性に合わせて選択できます。

次の章では、キャリアチェンジする選択肢を見ていきましょう。

SIerから思いきってキャリアチェンジ

SIerから一歩踏み出して、思いきったキャリアチェンジを選択することも可能です。
以下に、SIerからのキャリアチェンジの選択肢の例を紹介します。

  • SIerからフリーランス独立・起業
  • SIerから公務員・教員への転身
  • SIerから異業種へのキャリアチェンジ

それぞれ見ていきましょう。

SIerからフリーランス独立・起業

まずフリーランスエンジニアとして独立するケースがあります。

SIerで培ったシステム開発のスキルを活かせば、自由な働き方を実現でき、プロジェクトによっては高収入を得られる可能性もあります。

ただし、受注活動や経営ノウハウが必要になり、安定収入が得られない時期も出てくるでしょう。
さらに、起業してシステム開発会社を立ち上げるチャンスもあり、事業展開力と経営マインドが問われることになります。

SIerから公務員・教員への転身

SIerで働いていて、意外にあると感じるのが、公務員や教員にキャリアチェンジするケースです。

SIerから自治体の職員や教員になった方を実際に何人か知っています。
筆者も教員免許を持っているため、やりがいを求めてキャリアチェンジすることを真剣に考えたこともあります。

公務員や教員は、安定した雇用と働き方が魅力的ですが、民間企業でのスキルが活かしにくい面や文化の違いもあることには留意が必要です。

SIerから異業種へのキャリアチェンジ

これまでのIT業界からまったく異なる業界へ飛び込むキャリアチェンジも選択枝に入ります。

SIerでの経験を違う分野に転用することで、新しい視点からの仕事ができるようになります。
たとえば、ITリテラシーを活かせる営業職や企画職などです。

実際に筆者の夫は、新卒から13年ほどSIerで勤めてプロジェクトマネージャーやITコンサルタントの役割を経て、現在はスタートアップ企業でマーケティング職に従事しています。

異業種へのキャリアチェンジは、過去に縛られずに新しい可能性に挑戦できるメリットがありますが、一方でこれまでのキャリアを無駄にしてしまう恐れもあり熟考が必要不可欠です。

このようにSIerからキャリアチェンジする選択枝は多岐にわたります。自らの適性と人生設計に合わせて、勇気を持って新たな道を切り開いていくことが重要になるでしょう。

SIerからの転職に失敗しないための3つのポイント

SIerからの転職に失敗しないためにおさえておくべきポイントは、以下の3つです。

  • スキルの棚卸しとキャリアプラン検討
  • 転職エージェントの活用|転職先候補を提案してもらう
  • 口コミサイトの活用|自分に合った企業文化を見極める

それぞれ解説します。

スキルの棚卸しとキャリアプラン検討

まず、これまでの仕事で得た経験を振り返り、どのスキルが得意で、どのようなプロジェクトに携わったかを整理しましょう。
この自己分析を通じて、自分の強みや市場価値を把握し、それに基づいたキャリアプランを立てます。

たとえば、システム開発の経験が豊富なら、開発職を中心に転職活動を行うのが良いでしょう。
また、顧客折衝が得意なら、ITコンサルタントや営業などの職種も視野に入ります。

転職エージェントの活用|転職先候補を提案してもらう

転職エージェントは、転職市場の最新情報を持ち、個々のスキルや希望に合った求人を紹介してくれます。

エージェントとの面談を通じて、自分のキャリアプランを共有し、適切な転職先候補を提案してもらいましょう。
また、履歴書や職務経歴書の添削、面接対策など、転職活動全般にわたるサポートを受けられます。

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口コミサイトの活用|自分に合った企業文化を見極める

転職先の企業文化は、働きやすさや職場での充実感に大きく影響します。

口コミサイトを活用して、実際にその企業で働いている、もしくはその企業で働いていた人々の声を聞き、企業の雰囲気や働き方を把握しましょう。

また、福利厚生やワークライフバランスに関する情報も得られるため、自分にとって理想的な職場環境かどうかを判断する材料になります。

これらのポイントを踏まえ、自分に合った転職先を見つけ、キャリアアップを目指しましょう。
自己理解と情報収集が、転職成功の鍵となります。

SIerからの転職でよくある質問

SIerからの転職に関するよくある質問を紹介します。

Q1.SIerからの転職タイミングは?

SIerからの転職を考える際、一般的に、年代によって最適なタイミングが異なります。

20代でSIerから転職する場合

20代の転職は、キャリアチェンジとキャリアアップの両方のチャンスがあります。

20代前半では、新しい分野へのチャレンジがしやすく、企業も「染まっていない若手」として採用を検討する傾向にあります。
20代後半は、一定の経験を積んでキャリアアップを図るのに適した時期です。

30代でSIerから転職する場合

30代の転職市場では、とくに30代前半が非常に有望です。

この時期には、経験不足でもまだポテンシャル採用のチャンスがあり、多くの企業が若手エンジニアを求めています。

また、大手SIerからの転職は、30代までは比較的容易とされており、IT転職エージェントを利用することでスムーズな転職が可能です。

40-50代でSIerから転職する場合

40代の転職は、とくに管理職としての転職が中心になりますが、ITエンジニアやSEとしては40代でも転職しやすい職種です。

ただし、50代になると、転職市場での求められる役割は変わり、即戦力としての経験やスキルが重視されます。
この年代での転職は、将来のキャリアパスを見据えた戦略的なアプローチが必要です。

転職を成功させるためには、自分のスキルや経験、そして市場の需要を理解し適切なタイミングで行動を起こすことが重要です。

Q2.SIerからの転職は難しい?

SIerからの転職の難易度は、転職先や個人のスキルセットによって異なるので一概には言えません。

ただ、IT業界は全体的に人手不足で、経済産業省によると2030年までに16万人から最大で79万人ほどの人材不足が懸念されるほどです。

需要に対して供給が追いついていない売り手市場の状態なので、SIerで経験を積んだ人の転職はある程度楽観視できます。

参考:IT人材育成の状況等について|経済産業省

まとめ|SIerからの転職を成功させるカギは「自分を理解すること」

この記事では、以下のことがわかりました。

  • SIerから転職したい理由は「やりがいを感じない」「将来性が不安」「スキルが身につかない」などがある
  • SIerのキャリアを活かした転職先は「自社開発企業」「コンサルティングファーム」「事業会社(社内SE)」などが挙げられる
  • SIerからキャリアチェンジして「フリーランス独立・起業」「公務員・教員」「異業種への転職」などの選択肢もある
  • SIerからの転職に失敗しないためには「キャリアプランの検討」「転職エージェントの活用」「口コミサイトの活用」が重要

SIerからの転職を成功させるためには、自分のスキルや価値観、キャリアの目標を深く理解し、それを転職活動に反映させることが重要です。

自己理解は、転職活動のみならず、長期的なキャリア形成においても不可欠な要素です。
自分自身をよく知り、適切な選択を行えば、きっと納得のいく転職先が見つかるでしょう。

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この記事を書いた人

国内大手SIerに新卒入社し、現在もプロジェクトマネージャーとして働いています。
自社製品開発・受託開発、企画〜開発〜運用保守まで幅広く経験してきました。
ワーママとして日々忙しく働きながらも、なんとか充実した生活を送れています。
実際に働いているからこそわかるリアルな情報や、私自身が転職活動を通じて得たIT業界の知識をわかりやすく発信していきます。

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