SIerはつらい?体験談と実態を現役の大手SIerエンジニアが解説

SIerはつらいって本当?とその実態が気になるという人もいるのではないでしょうか。

SIerで働くことは決してラクではありませんが、相応の魅力がある職種です。

この記事では、SIerで14年の勤務実績のある現役エンジニアの筆者が、SIerでつらいと感じた体験談やつらいと感じる理由などをくわしく解説します。

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この記事でわかること
  • SIerでつらいと感じた体験談として「長時間労働」「トラブル対応」「人間関係」などを紹介
  • SIerで働くことがつらいと感じる理由は「緊急対応のプレッシャー」「人間関係の複雑さ」「技術的な専門性を身につけにくい」ことが挙げられる
目次

SIerは「つらい」と感じた体験談5選

筆者の体験談から、SIerで働いていてつらいと感じたエピソードを紹介します。

  1. 炎上プロジェクトでの慢性的な長時間労働
  2. 運用保守プロジェクトの緊急トラブル対応
  3. チーム内の人間関係
  4. スキルアップの難しさ
  5. 女性エンジニアが少なくて産休の業務調整がしづらい

それぞれ見ていきましょう。

1.炎上プロジェクトでの慢性的な長時間労働

SIerで働いていて「つらい」と感じた体験談として、まず思い当たるのが炎上プロジェクトでの対応です。

SIerの仕事はプロジェクトベースで進行するものがほとんどのため、円滑に進められないプロジェクトは長時間労働が常態化することがあります。

とくにリリース前は激務になりがちで、プライベートの時間が皆無になることもめずらしくありません。

炎上プロジェクトは、計画時点から無理があるケースがほとんどです。
効率的で実現性のあるプロジェクト計画がまとめられていないプロジェクトは要注意です。

2.運用保守プロジェクトの緊急トラブル対応

SIerとして働く上で、運用保守フェーズでのトラブルはとくにつらく感じます。

システムが本番稼働している状態で障害やトラブルが発生すると、ユーザーの業務に多大な影響を及ぼす可能性があるため、迅速かつ的確な対応が必要です。

システム障害が発生した場合、まずはその影響範囲を把握し、ユーザーへの通知を行います。

つぎに、障害の原因を特定し、可能な限り早急に解決策を実施する必要があります。
このプロセスは、高度な技術的スキルとともに、プレッシャーへの耐性も求められるため、非常にストレスがかかる作業です。

原因特定の難しさは、障害が発生したシステムの複雑さによって増します。
また、システムが連携している他のシステムにも影響を及ぼす可能性があるため、トラブルシューティングにはその全体像を理解している必要があります。

続く解決策の実施には、問題を解決するための修正や回避策を迅速に適用する能力が不可欠です。
これには、直接的なシステムのスキルだけでなく、関係者とのコミュニケーションや連携が求められます。

このような緊急トラブル対応は、つらいと感じることも多いですが、同時にスキルを磨く貴重な機会でもあります。

3.チーム内の人間関係

SIerでも他の仕事と同様に、大きな問題になることがあるのが人間関係です。

SIerでの仕事は、プロジェクトごとにチームメンバーが変わることが多く、人間関係の構築において問題が生じることがあります。

人と人の相性の問題は、個々の価値観や働き方の違いから生じることが多く、時には合わない人と仕事をしなければならない状況になります。

仕事だからと割り切れると良いのですが、合わない人とプロジェクトを進める必要がある場合はコミュニケーションの障壁となり、プロジェクトの進行に影響を与えたり精神的に疲れたりすることもめずしくありません。

自分が当事者でなく、合わない二人の間に挟まれることもあります。
このような状況では、中立を保ちつつ、双方と効果的にコミュニケーションを取ることが必要です。
板挟みの状況も精神的なストレスをともなうことがあり、プロジェクトの進行においても余計なエネルギーを使う原因となります。

人間関係の管理は、SIerの仕事において重要なスキルのひとつです。
良好な人間関係を築くことは、プロジェクトの成功に直結します。

SIerとして働くことは、技術的なスキルだけでなく人間関係のスキルも同時に磨かれます。

4.スキルアップの難しさ

SIerでのキャリアは、多様な業務を経験することで知識の幅を広げる機会を得られますが、同時に特定のスキルセットを深く磨くことが難しい感じられることがあります。

SIerは関係者との調整業務やマネジメント業務をメインで担当する役割のため、とくにシステム実装スキルが十分に磨けていないと感じる人も多いです。

システム実装スキルの習得は常に進化するIT業界において重要ですが、日々の業務に追われる中で、学習に割く時間を見つけるのは容易ではありません。
これは、技術的な成長を望むエンジニアにとっては大きな課題です。

SIerで身につくスキルと身につかないスキルについては、以下の記事で解説しているので興味がある人は読んでみてください。

5.女性エンジニアが少なくて産休の業務調整がしづらい

情報サービス産業協会によるとIT業界における女性エンジニアの割合は約20%とされており、私が勤務しているSIerでも女性は少数派です。

女性エンジニアとして働いていてつらいと思ったのは、妊娠中に炎上プロジェクトのプロジェクトリーダーを担当していた際に、産休に入るまでの業務調整に苦労した経験です。

産休前の長時間労働は、体調を考慮すると避けるべきですが、プロジェクトの状況や自身の調整力の不足により避けられない場合もあります。

業務調整の難しさは、女性エンジニアが少ないことに加え、とくに炎上しているプロジェクトでは、代替人員の確保や業務の引き継ぎが複雑になります。
妊娠を理由に業務調整を行うことに尻込みしてしまうこともあり、これには大きなストレスを感じました。

このような状況では、率直にサポートしてほしいと上司に相談すると、フォローしてくれる会社がほとんどだと思います。
自分の健康とキャリアを守るために、積極的にサポートを求めることが重要だと学びました。

参考:情報サービス産業協会|情報サービス業基本統計調査

ここで挙げた体験談は、SIerとして働く上でのつらいと感じたエピソードです。
ですがこれらの経験から得られる学びや成長も多く、それがSIerの魅力的な側面でもあります。
プロジェクトを成功に導いたときの達成感や、チームでの協力を通じて得られる絆は良いものだと感じます。

SIerが「つらい」と感じる3つの理由

前章でご紹介した体験談から、SIerで働いていて「つらい」と感じる理由をまとめます。
以下の3つがSIerがつらいと感じるおもな理由です。

  • 高いプレッシャーと緊急対応
  • 人間関係の複雑さ
  • 技術的な専門性の欠如

高いプレッシャーと緊急対応

SIerは、システム障害や緊急トラブルが発生した際に迅速な対応を求められます。

これには高いスキルと精神的な耐性が必要であり、とくに運用保守フェーズでは、ユーザー業務への影響を最小限に抑えるために、即時対応が基本です。

このような状況は、エンジニアにとって大きなストレスとなり得ます。

人間関係の複雑さ

SIerは自社のプロジェクトチームのメンバーだけでなく、営業や自社の他部門、顧客やパートナー企業など多くの関係者に携わりながら仕事を進める役割です。

さらにプロジェクト単位でメンバーが頻繁に変わるため、チーム内の人間関係の構築にも気を使います。

相性の問題や、合わない人同士の間に挟まれることもあり、これは仕事の進行において余計なエネルギーを消費する原因となります。

技術的な専門性の欠如

SIerは多種多様なプロジェクトを経験しますが、メイン業務は上流工程で行う要件定義や設計なので、実装スキルや技術領域における専門性を深めることが難しいと感じることがあります。

新しい技術や言語を学ぶ時間が不足していると感じることもめずらしくはなく、これはとくに技術的な成長を望むエンジニアにとっては大きな課題です。

これらのSIerがつらいと感じる理由は、SIerとして働く上でのチャレンジする機会でもあり、それぞれのエンジニアがこれらの問題にどのように対処し、乗り越えるかが重要です。

これらの困難を乗り越えたとき、よりプロフェッショナルとして成長できるでしょう。
SIerの職場は多様な経験を提供し、幅広いスキルセットを身につける機会を与えてくれるため、その魅力的な側面も忘れてはなりません。

SIerとほかのエンジニア職を比べてつらい点・優れている点

SIerエンジニアのつらい点・優れている点を、類似した職種のSESエンジニア・自社開発エンジニアと比較してみます。

スクロールできます
業種概要つらい点優れている点
SIerシステムインテグレーターとして、顧客の要求に応じたシステムの設計、開発、運用を行う。・厳しい納期と顧客の要求
・多様な技術への対応が求められる
・大規模プロジェクトへの参加
・幅広い業界知識の習得
SESエンジニア派遣サービスとして、他社のプロジェクトに技術者を提供する。・多重下請けによる利益の圧縮
・労働環境の不安定性
・スキルと案件のミスマッチがある
・様々な企業文化を経験
・多様な技術に触れる機会
自社開発自社で製品やサービスを企画、開発し、市場に提供する。・製品の成功へのプレッシャー
・市場の変動への影響
・製品に対する強いオーナーシップ
・技術選定の自由度
各業種の比較

SIerは、顧客の要求に応じたシステムのトータルソリューションを提供することで、幅広い業界知識と経験を積むことができますが、厳しい納期や顧客要求などの課題もあります。

SESは、多様な企業文化や技術に触れられる一方で、プロジェクトごとに変わる労働環境の不安定性やスキルと案件のミスマッチが課題となります。

自社開発は、製品に対する強いオーナーシップと技術選定の自由度がありますが、製品の成功へのプレッシャーや市場の変動への影響がつらい点です。

どの職種も長所と短所があるので、よく理解して自分に合った職種を選択することが重要になります。

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まとめ|SIerはつらいと感じることもあるけど魅力的な側面もある

この記事では、以下のことがわかりました。

  • SIerでつらいと感じた体験談として「長時間労働」「トラブル対応」「人間関係」などを紹介
  • SIerで働くことがつらいと感じる理由は「緊急対応のプレッシャー」「人間関係の複雑さ」「技術的な専門性を身につけにくい」ことが挙げられる

SIerの仕事は厳しい側面があり、つらいと感じることもあるのが実態です。

ですが、大規模プロジェクトへの参加や多様な業界知識の習得など、SIerで働くからこそ得られる成長とキャリアアップの大きなチャンスもあります。

どの職種でもその人に合う・合わないがあるので、仕事に何を求めるのかを整理して、自分だけのキャリアパスを描くことが重要だと思います。

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この記事を書いた人

国内大手SIerに新卒入社し、現在もプロジェクトマネージャーとして働いています。
自社製品開発・受託開発、企画〜開発〜運用保守まで幅広く経験してきました。
ワーママとして日々忙しく働きながらも、なんとか充実した生活を送れています。
実際に働いているからこそわかるリアルな情報や、私自身が転職活動を通じて得たIT業界の知識をわかりやすく発信していきます。

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