この記事では、大手Sier勤務でプロジェクトマネージャーとして働いていた夫(まっちゃ)の実際の一週間をご紹介します。
システムエンジニアへの就職や転職、もしくは現在システムエンジニアでこれからプロジェクトマネージャーになろうと検討されている方のご参考になるとうれしいです。
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【結論】Sierのプロジェクトマネージャーは激務だが魅力的な仕事。ライフステージを見据えることも重要
《この記事の内容》
- Sierのプロジェクトマネージャーは多忙
- さらに共働き育児も重なると起きている間ずっと追われている生活になる
- プロジェクトマネージャーが多忙な理由は「仕事場所が顧客先であること」「関係者が多い」などがあげられる
- Sierのプロジェクトマネージャーは激務だが年収は高い傾向がある
- ライフステージによって働き方の価値観は変わる|選択肢を増やせるように自分時間の確保が大切
この記事の筆者|まっちゃ
- 元国内大手Sier勤務(元プロマネ&コンサル→2022年フリーランス)
- プロマネ歴7年
- 30代半ば
- 保有資格:ITストラテジスト、応用情報技術者、基本情報技術者、他ベンダー資格(アジャイル開発、クラウド、運用保守など)
2022年に会社を卒業して現在はフリーランスとして活動しています。
過去に筆者が運営していたブログ記事を整理していると2021年時点のとある一週間をまとめた記事を見つけました。
特に忙しい or 落ち着いているというような時期でなく標準的な一週間をまとめていたので
と思いご紹介することにしました。
当時の状況は下記のとおりです。
- 国内企業の最大手Sier勤務
- 新卒入社13年目
- プロジェクトマネージャーとして顧客先へ通う
- 年収890万円ほど
- 夫婦共働き(妻は同僚。SIerでプロジェクトマネージャーとして働く)
- 3人の育児(7歳、4歳、2歳)
Sier勤務プロジェクトマネージャーの一週間ぶん
顧客先へ通ってプロジェクト管理を担当していた2021年のとある一週間。当時の生活をそのまま見える化したのが下記の表です。
凡例:
・青(仕事関連)
・オレンジ(家事関連)
・青(仕事関連):90時間 通勤時間込み
・オレンジ(家事関連):24時間
これが標準的なスケジュールで、昼食を食べることができないこともめずらしくありません。ご覧のとおり一週間をとおして起きている時間の大半を仕事に使っています。
夫婦ともにSierでプロマネ|ワークライフバランスは崩壊
筆者の夫婦は共働きなので協力してお互いが家事をします。
妻は会社の同僚で、筆者と同じくSierでプロジェクトマネージャーとして働いています。なので同じように筆者と同じように多忙な生活を送っていました。
夫婦ともに「起きている時間の大半を仕事」「それ以外は家事・育児」自分時間なんて皆無で常に時間に追われながら生活している。というような状況でした。
Sierのプロジェクトマネージャーが忙しい理由|5選
ここで、なぜSierのプロジェクトマネージャーが忙しいのか。筆者の場合はどうだったのかをまとめてみます。
顧客先が仕事場所となることが多い
Sierのプロジェクトマネージャーが忙しい理由その1。「顧客先に行かなければならない」ことです。プロジェクトマネージャーというよりSierの特性です。
Sierとは、ざっくり「顧客のシステム開発や運用を請け負う事業のこと」なので顧客先が仕事場所となることが多いです。現在は顧客先に行かずオンラインでSierとして働くことも一般的になってきていますが「顧客先に行くか」「オンラインで対応していいか」は結局のところ顧客次第です。
オンラインで働くことが普及していない顧客だと、顧客先へ行くしかないこともあります。プロジェクトが変わると通勤時間が1時間長くなった。ということも珍しくありません。
プロジェクトマネージャーは「関係者が多い」
プロジェクトマネージャーは、関わる人が多い役割です。
プロジェクトメンバー、営業、自社の関連部署、取引先、顧客など関わる人が多く、また、複数のプロジェクトを兼任することもあるのでそのプロジェクトの数だけ関係者がいます。
それぞれの関係者に情報をうまく連携してプロジェクトを推進する必要があり忙しい原因となっています。
顧客先だと複数のタスクを並行推進しずらい
顧客先が仕事場所だと、訪問している間はその顧客に関する仕事しかできません。
例えば、A顧客プロジェクトで顧客先を訪問した場合はA顧客との打ち合わせや、空き時間に資料作成などのワークを進めることは可能です。
ですが、A顧客先で別のB顧客との商談やプロジェクト対応を堂々とするわけにはいきません。情報漏洩の危険がありますし、何よりA顧客に失礼です(顧客との関係性にもよりますが、別の顧客対応のため作業スペースを貸しているわけではない)。
顧客先に通っている日中時間帯は、自社や別顧客向けの資料作成やリサーチができず、結果的に平日の早朝や夜間、休日などの残業で対応する必要がでてきます。
プロジェクト運営は休日対応が必要になることがある
平日にプロジェクトの進捗遅れが生じると、遅れを取りもどすリカバリ対応で休日対応することがあります。
また、運用システムのメンテナンスや開発プロジェクトのリリース対応や本稼働なども休日に行うことが多いです。リリース対応や本稼働などはシステムを停止する必要がある場合が多く、システム利用者への影響を小さくするため、利用者が少ない休日にスケジューリングすることが多くなるのです。
飲み会やゴルフなどの付き合いを求められることも…
接待は公務員相手には法律で禁止されていますが、民間だと顧客や取引先との飲み会やゴルフなどの接待はあらゆる業種で行われています。
プロジェクトマネージャーは関係者が多く、また、プロジェクトの中心にいるような役割なので付き合いへの参加を求められることが多いことも実態としてあります。
(コロナを機に付き合い自体が減っているので、付き合いが苦手な人には好都合ですね。)
コロナ禍で働き方は更にハードに
昨今のコロナ禍では、自分や家族が濃厚接触者などになるとご紹介したスケジュールを家庭保育しながら在宅ワークでこなさないといけません。メールを処理したり資料を作ったり、会議に参加しながら子どもをみることになります。
余談ですが、一度在宅ワークのオンライン会議中に子どもに牛乳をぶっかけられたことがあります。その時私は社内のエライ人向けに資料説明していたので、会議が終わるまで牛乳はそのままで耐え抜きました。家庭保育しながらの在宅ワークは本当にハードです。
激務に見合うか|プロジェクトマネージャー当時の年収(890万円)
Sierでプロジェクトマネージャーとして働いていた頃の年収は890万円ほどでした。
30代の平均年収が440万円ほど(※1)。
※1:参考 令和3年賃金構造基本統計調査(s-Stat)|厚生労働省 より推計
業務内容はハードですが、年収が高いのは非常に魅力的なポイントです。
筆者は管理監督者であったため残業代はつかずに成果報酬制でした。
ですが仕事量が多く平日夜間や休日もたくさん働いていたため、一般社員の最上位で残業代をつけてもらった場合の方が年収は高くなるほど働いていました。
管理監督者は仕事量が多いため、ワークライフバランスが崩れがちになる構造だと思います。
プロジェクトマネージャーが残業せずに早く帰るコツ
プロジェクトマネージャーが慢性的に長時間労働をしないために一番重要なこと。それは「自分の価値観をはっきりすること」です。
ネットでは表面的な残業しないコツばかり紹介されている
検索してみると
- ツールを導入して効率化する
- 業務知識を習得して正しい決断をする
- プロジェクト管理を適切に行い仕事をバランス良く割り振る
- タスクの優先順位をつける
- タイムマネジメントを行う(時間に余裕を持つ)
- 属人化を防ぐ(特定の人しかできない状況を作らない)
など、表面的なコツばかりが紹介されていますが、申し訳ないですが表面的な対処だと現場ではほとんど意味がないです。
前述した内容は、分かりきった教科書どおりのことが羅列されているだけです。
例えば、
「待遇が良い会社に就職するためには、東大を出るべきだ。」
くらい表面的です。
言っていることは理屈的には概ねあっています。ですが「それは実現できるのか」が問題です。東大なんて誰でも「じゃあ入ろう」と入れるところではありません。
ツールを導入しても関係者全員が本当に使いこなせるか、業務知識はすぐに習得できるのか、プロジェクト管理をどうやって適切に行うのか。
その当然のことができなくてみんな苦労しているのです。
本気で残業しないなら根本を抑える
自分は何を優先するのか。という価値観をはっきりさせて腹を括らないと筆者のように慢性的に長時間労働を続けることになります。
具体的には「家族」「友人」「健康」「仕事」のどれを優先するのかを決めておくことです。
時間は有限ですので、この世の中は全てトレードオフと言っても過言ではありません。
この中で2つを選択することしかできない場合、何を選択しますか。
何を優先するか決めておくと、残業せずに帰ることができるようになります。
「仕事」を優先していると残業せずに帰ることは難しいです。効率化して早く仕事を終わらせると次の仕事が入り込んできます。会社は利益を追求するところなのでそういうものです。多大な仕事量は、「作業分担する・納期調整する・品質を下げる」を徹底的に調整することで対応します。
残業せずに帰るなら、自分は「家族」「健康」を優先している→定時になったら帰る。ということを徹底して他人の目を気にせず帰りましょう。
極論のようですが、ここまでやらないと多忙なSier・プロジェクトマネージャーが定時で帰ることは出来ないと思っています。
何を優先するか、何をやらないか決める思考法は、名著『エッセンシャル思考』で学ぶことが出来ますのでご興味ある方はぜひ読んでみてくださいね。
在宅ワークはプロジェクトマネージャーにとって追い風か?
在宅ワークがプロジェクトマネージャーにとって、ワークライフバランスを実現させる追い風か?については「その人の意識しだい」です。
まず、プロジェクトマネージャーとして在宅ワークで働くことは可能です(可能な顧客もいます)。
筆者の場合は、リモートワークを行わない顧客特性にあわせて顧客先に通っていました。ですが、リモートワークが普及している顧客を担当した同僚はフル在宅ワークで対応していました。ちなみに、妻もプロジェクトマネージャーですがフル在宅ワークで働いています。
なぜ、在宅ワークがワークライフバランスの向上に貢献するかは「その人しだい」かというと、プロジェクトマネージャーという役割は仕事量が膨大で終わりが無いからです。
在宅ワークで通勤時間が往復2時間浮いたとしても、その時間を仕事にあててしまっては自分時間は増えません。在宅ワークをしているプロジェクトマネージャーの同僚は浮いた時間の全てを別の仕事にあてていました。筆者が知る限り一人だけでなくみんなそうなっていました。
Sierやプロジェクトマネージャーにとって在宅ワークは、ワークライフバランスを向上させる可能性がある施策です。
ですが、「自分は何を優先するのか。という価値観をはっきりさせて価値観と行動を一致させる。」ことがとても重要です。
よって、在宅ワークがプロジェクトマネージャーのワークライフバランスを実現させるかについては「その人の意識しだい」となります。
ライフステージによって働き方の価値観は変わる
結婚して子どもが産まれる前は、プロジェクトマネージャーとしての仕事にやりがいを感じキャリアを積むことに熱心でした。ですので、ご紹介した一週間よりもっと忙しく働いていたことはザラにありました。
ですが、結婚や子どもが産まれるなどライフステージの変化によって働き方の価値観は変わります。
そもそもなぜ激務で共働きしていたか
振り返ってみると、自然な流れで結婚→育児(1人目、2人目、3人目)ときていて、忙しくてもなんとか生活を送ることができているのでSierで共働きというハードモードをこれまでの延長で「なんとなく」選択していました。
忙しい毎日に追われて「なぜこの選択肢を取っているのだろう」と疑問に思ったり、改善しようと考える余裕が無かったようにも思います(言い訳)。
ライフステージを見据えた働き方を
読者の方へは、「ライフステージが変わるタイミングでどんな働き方をしたいのか」夫婦でよく話し合ってみることをおすすめします。
筆者の場合、子ども3人の育児と会社のキャリアアップのタイミングが夫婦ともにぴったり重なってしまいました。
当時の働き方を続けるのは無理(夫婦どちらかが体をこわす)と判断して、筆者は会社を辞めてしまうことにしました。
当時考えた方針は
1.現在の会社で役割を落とせないか調整
2.転職
3.自分に裁量権のある仕事にする(独立)
「1.現在の会社で役割を落とせないか調整」は、気が進みませんでした。職責を落としたり短時間勤務にしても、業務量が多大にあるので結局は給料は下がるけど多忙な生活を継続している。という未来しか想像できませんでした。
そうなると、「2.転職」や「3.自分に裁量権のある仕事にする(独立)」が選択肢になります。
筆者は以前からフリーランスとしての働き方に興味があったので、「3.自分に裁量権のある仕事にする(独立)」を選択し、現在フリーランスとして働いています。
筆者の場合は行き当たりばったりな側面もありましたのでパワープレイで進めることになり大変でしたが、これからキャリアアップや結婚・育児などを予定されている方はできるだけ計画的に進めると穏やかに過ごせると思います。
働き方の選択肢を持つ
プロジェクトマネージャーは激務ですが、たくさんの人と繋がりながら仕事を進めることができてやりがいがある魅力的な仕事であることは確かです。
でも、筆者はこの激務を定年まで続けられるイメージが湧きませんでした。
人は選択肢が少なくなると追い詰められます。このことを念頭に置いて日頃から転職や独立を見据えて選択肢を持つことを目標にすることをおすすめします。
まとめ:プロマネは激務だが魅力的な仕事|ライフステージを見据えてキャリアを積み上げよう
この記事では、Sierのプロジェクトマネージャーの一週間を紹介し、実態をまとめました。
プロジェクトマネージャーは関わる人が多くやるべきことがたくさんある激務です。
一方で年収が高かったり多くの人と協力しながら業務を推進する魅力的な仕事でもあります。
これからプロジェクトマネージャーを目指す方や、現在プロジェクトマネージャーをご担当されている方は「目の前の仕事だけでなく、ライフステージを見据えてキャリアを積み上げていく」ことを意識することが重要です。
自分時間を作ってスキルや知識の習得、転職活動や独立を見据えた副業など、自分の選択肢を増やす活動をおすすめします。
選択肢を広げられると、生活する上で悩むことが少なくなり充実した毎日を送ることができますよ。
最後まで読んでくれてありがとうございました。