AI技術はIT業界を大きく変革しています。一方で「将来はAIがシステムエンジニアを代替する」と心配するような情報をよく目にするようになりました。
この記事では、現役システムエンジニアの目線でAIの発展がシステムエンジニアのキャリアに及ぼす影響を考えてみます。
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AIにSEの仕事は奪われない。けど変革は起きる。将来を見据えて対策しよう!
《この記事の結論》
- AIは人工知能のこと。現在は幅広い分野で使われている
- AI活用によってSEの仕事は無くならない。でも変革は起きる
- AI活用による変革で、より付加価値の高いデジタル人材へのシフトが起きる
- 付加価値が高いデジタル人材は高い報酬を得られる。将来を見据えたスキル習得が大切
AIとは|人工知能のこと
AIは人工知能のことで、コンピュータが人間のように認識、思考、学習、行動する技術をさしています。
データ分析、画像認識、自然言語処理など様々な分野で使用されていて、ビジネス・医療・教育・エンターテイメントなど幅広い分野で使われています。
AIで出来ること
AIは高度な計算能力を持っているので多くのタスクを自動化できます。AIが得意なことの特徴は以下のとおりです。
《AIで出来ること》
- 大量のデータを分析して、トレンドやパターンを見つける
- 自動的に文書を生成する
- 顔認識や画像認識などの画像処理
- 自動運転やロボット技術などの機械学習
- 自然言語処理(文書の要約、文章の生成など)
AIが苦手なこと
人の想像力や感情表現、クリエイティブなタスクなどは現時点では対応できていません。これらは今のところ人間にしかできないタスクで、AIが完全に代替することはまだ難しいとされています。
AIが苦手なことの特徴は以下の通りです。
《AIが苦手なこと》
- 感情やエモーションを理解する
- 想像力やクリエイティブなタスク
- 人間のようなコミュニケーション能力を持ったタスク
- 倫理や価値観に基づいた判断
AI技術の活用事例
AIは多くの業界で活用されています。いくつかの事例を以下に紹介します。
《AIの活用事例》
- 医療
画像診断や診断支援などの医療アプリケーションを開発することで医師の判断を支援しています。 - 金融
チャットボットなどによる窓口取引業務の自動化、サイバーセキュリティ攻撃の対策強化などに活用されています。 - マーケティング
顧客動向や購買傾向などの分析に基づいて、顧客それぞれに適した広告を配信することで効果的なマーケティングを実現しています。 - 製造業
生産ライン自動化や品質モニタリングなど、製造工程のタスクを自動化することで生産効率を上げています。
AIによってSEは仕事を奪われるのか
私はAIによってSEの仕事が奪われることはないと思います。SEは今後も重要な役割を担うことが予想されます。
AIによってSEの仕事無くならないけど、タスクが自動化されることによって変革は起きます。
AIによってSEの仕事が無くならない理由
主な理由をいくつか挙げます。
最終的にAIは責任を取れない
システムは医療など人命に関わるもの、電力や交通機関など社会インフラなど失敗が許されないものがたくさんあります。
そのシステムに対する最終的な責任をAIに任せるわけにはいきませんので、最終的には人が品質をチェックすることが必要です。
そもそもAIは人間の代わりではない
人間が持つ想像力やクリエイティブ性、判断力を持たないため完全に人間の仕事すべてを代替することはないと考えて良いと思います。
AIは補助的な存在
AIは人間の業務の支援ツールです。人間が行う作業を効率化することができると同時に人間の手間を省くこともできます。
新しい仕事が生まれる
AIの普及に伴い新しい仕事が生まれます。AIの活用に関連する分野やAIの運用に関連する仕事などがあります。
人間のスキルセットが重要
感情を含むコミュニケーションスキルやリーダーシップスキルなど、人間固有のスキルセットはAIに代替されることはありません。
職業としてのシステムエンジニアの変化
AIの進展により、システムエンジニアの役割も変化しています。
AIの導入により業務の自動化や効率化が進んでいて、システムエンジニアはより高度なスキルを求められるようになっています。
例えば、AIを活用したデータ分析や予測に関するスキルが求められるようになりました。また、AIの導入により、新たな業務領域を開拓することも求められるようになっています。
AIによってSEをより付加価値の高い仕事にシフトできる
AIの活用によって、より付加価値の高い仕事にSE人材をシフトできるようになります。
AIによって代替される役割
単純作業はAIに代替されることが見込まれます。
データ入力、運用オペレーション、システムのQAサポート、
プログラマー(仕様書に基づきコーディングするのみのPG)、
PMO業務の一部(事務的な集計や報告のみ)
高付加価値の仕事にシフト
AIによって代替された役割は、例えば以下のような単純作業ではない高付加価値な仕事にシフトされるはずです。
インフラエンジニア、ネットワークエンジニア、アプリエンジニア
さらに高付加価値の仕事にシフト
従来は前述の役割だったSEの一部は、さらに高付加価値な仕事にシフトしていきます。
AIエンジニア、データサイエンティスト、プロジェクトマネージャー、ITストラテジスト、ITコンサル
AIが代わりになるSEの仕事・代わりにならない仕事
AIが肩代わりするSEの仕事
AI時代において、AIが肩代わりするSEの役割やタスクは以下のようなものがあります。
大量データ処理
大量のデータを処理するタスクはAIによって自動化されます。
モニタリング
システム運用状況のモニタリングやトラブルシューティングなど、重複するタスクはAIによって自動化されます。
報告業務
定期レポートやデータ分析など、手作業に基づいたタスクはAIによって自動化されます。
AIが肩代わりしないSEの仕事
AIに肩代わりする仕事があれば、AI発展によって価値が高まったり新たに生まれる仕事もあります。
AIが苦手な想像力やクリエイティブ性、リーダーシップが必要なことはAIの発展によって価値が高まります。
商談対応やコンサルティング
商談やコンサルは顧客自身が自覚していない潜在ニーズを踏まえた提案が求められるため想像力が必要でクリエイティブな仕事です。今後も価値が高まると考えられます。
マネジメント
プロジェクトマネジメント、プロダクトマネジメント、プログラムマネジメントなどの管理業務にはマネジメントスキルとリーダーシップが必要です。この役割はAIには肩代わりされません。
AI以外の技術と組み合わせる
IoTやRPA、AR/VR,ブロックチェーンなど様々な新しい技術とAIを組み合わせて高付加価値な成果を出すことが求められます。
AIがSEという仕事にもたらすメリットとデメリット
AIのメリット
- 自動化
大量データ処理やモニタリングなど、繰り返しのタスクを自動化して作業効率を向上できます。 - 正確性
AIはコンピュータなので計算に基づいて結果を出します。そのため人間が行う作業に比べて正確性が高いです。 - 時間短縮
自動化や正確性が上がることによって手作業に必要な時間を短縮できます。
AIのデメリット
- コスト
導入や運用には高額なコストがかかることがあります。規模が小さいor利用頻度が低いシステムなら人手での運用が低コストになる可能性があります。 - スキル不足
AIを導入するためにはAIの特性を踏まえた専門スキルが必要です。 - 感性の欠如
AIは人間の感性を持っていません。場合によってはSEが手作業によって補完する必要があります。 - 不確実性
AIは正確性が保証されない場合があります。最終的にはSEが確認することが必要になります。ミスが許されないシステムもありますので責任の所在がある人や組織が最終確認を行いましょう。
付加価値が高いデジタル人材は高い報酬を得られる
経済産業省の公開資料では「アメリカなど海外ではAI・データサイエンス等に関するスキルを持つデジタル人材に高い報酬を提示する例が増えている」との報告があります。
さらに、「日本でも新卒・中途採用を行う際に、デジタル人材には通常より高い報酬を設定する例がみられるようになっている」との調査結果が報告されていました。
引用:経済産業省「我が国におけるIT人材の動向>デジタル人材の報酬水準」
引用:株式会社ビズリーチ 求人検索エンジン「スタンバイ」調べ
引用:ダイヤモンド「新卒で年収3000万円も!激化する高度人材争奪戦」
デジタル人材の一例|AIエンジニアという仕事
現在のSEはデジタル技術を活用して様々な分野に高付加価値な業務への人材シフトを促して変革を波及させる役割を担っています。その結果、生産性や付加価値向上に貢献することが期待されています。
デジタル人材の一例として、AIエンジニアについて紹介します。
AIエンジニアという仕事の内容
AIエンジニアは、人工知能(AI)システムを構築、運用するエンジニアのことです。
AIエンジニアは、様々なデータを分析し、アルゴリズムを設計して人工知能活用モデルを構築する役割を担います。
モデルを構築すると、AIエンジニアはそのモデルを使用して、データ分析や予測を行ったりするアプリケーションを開発します。
AIエンジニアは、数学、統計学、プログラミングなど、多岐にわたるスキルを持っている必要があります。
また、常に最新の技術トレンドを把握して高性能なモデルを開発することが求められます。
AIエンジニアの将来性
たくさんの企業や公共機関がAIを採用することで、生産性の向上やコスト削減などの恩恵をうけます。そのため、近い将来AIエンジニアという職業に対する需要が増加することが見込まれます。
一方で、AI技術は高度になっていくことから、今後は更にスマートな人工知能システムが開発され、高度なスキルを持ったAIエンジニアが不要になることもあり得ます。なので、AIエンジニアは常に技術トレンドを把握しスキルを磨き続けることが大切です。
AIエンジニアになる方法
AIエンジニアに興味を持った方に向けて、AIエンジニアになる方法をまとめます。
プログラミングスキルの習得
まず入門編としては基礎的なレベルでOKと思います。プログラム言語はPython、C++、Javaなどの言語を学ぶ必要があります。
機械学習とデータ分析の基礎知識を学ぶ
AIエンジニアは機械学習アルゴリズムやデータ分析の方法について知っていることが望ましいです。本やオンライン講座で基礎知識を習得することができます。
AIプロジェクトの経験を積む
実際にAIプロジェクトに取り組むことで、実践的なスキルを習得することができます。会社でAI導入プロジェクトがあれば積極的に手をあげたいところです。また、AI関連部署へ異動したりすることで経験を積むことができます。
有識者とのリレーションを構築する
同業者や先駆者とのリレーションを構築できると最新のトレンドや技術について情報入手できます。
社会人ならオンラインスクールもあり
自己の学びにお金を使うことができる社会人ならスクールに通うことも選択肢としてありです。
スクールに通えば体系立てたカリキュラムを専門の講師つきで学ぶことができます。会社員なら会社から補助が出るかもしれませんし、フリーランスなら経費にできます。
また、転職を考えている方はスクールから就職するという流れもあります。
まとめ:AI活用が普及してもSEは将来性がある仕事。先を見据えたスキル習得が大切!
今回は「AIの発展によるSEの仕事への影響」について解説しました。
IT業界は新技術の移り変わりが早く、常に学ばないといけない大変さがあります。
ですが、将来を見据えてコツコツとスキル習得することでSEとしての価値を上げることができます。SEとしての価値が上がると年収を上げることも可能になります。
今後のAI需要を見越してAIエンジニアとしてのキャリアを積むのも面白そうです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。