ITエンジニアとして就職や転職を検討する際、SIer・SES・自社開発どっちがいいかを悩んでいる方は多いはずです。
それぞれの業態には、ビジネスモデル・責任範囲・役割と求められるスキルなどで大きな違いがあります。
結論、それぞれの職種に向いている人の特徴は以下のとおりです。
- SIerは、ビジネススキルやマネジメントスキルを身につけたい人に向いている
- SESは、実装スキルを身につけたい人に向いている
- 自社開発は、長期的な製品開発に興味を持ち、新技術の習得やイノベーションに興味がある人に向いている
この記事ではSIerエンジニアとして14年の経験を持つ筆者が、SIer・SES・自社開発の違いを解説し、それぞれの業態に向いている人材像や、おすすめのキャリア戦略までまとめてお話しします。
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- SIerは、商談や要件定義などの上流工程に関わる機会が多いため、ビジネススキルやマネジメントスキルを身につけたい人に向いている
- SESは、詳細設計や開発工程をメインで担当するため、実装スキルを身につけたい人に向いている
- 自社開発は、自社要員で内製化してシステムを開発するため、長期的な製品開発に興味を持ち、新技術の習得やイノベーションに興味がある人に向いている
- SIer・SES・自社開発のどっちがいいかは、業態を選ぶことだけでなく、商流の深さを理解しそれにもとづいてキャリアプランを立てることが重要
結論|SIerとSESと自社開発どっちがいい?
SIer・SES・自社開発のどれが良いかは一概に言えません。
それぞれのキャリアパスには長所と短所があり、各個人のスキルセット・価値観・ライフスタイルに合ったキャリアを選ぶことが重要です。
- SIer:システム開発の受託業務を行う。大規模なシステム開発プロジェクトを手掛け、上流工程をメインで担当する
- SES企業:他社のプロジェクトにエンジニアを派遣し、技術支援を提供する業態
- 自社開発:自社のサービス・プロダクト開発に携わる。技術に専念できる半面、製品の成否に左右されやすい
それぞれに向いている人材像は異なります。
SIerは幅広いスキルセットと適応力が求められます。
SESは特定領域の深い専門性や実装スキルが重要です。
自社開発は技術力にくわえて、新しい価値創出への情熱と創造性が問われます。
これからIT業界でキャリアプランを描く人にとっては、こうした職種の違いと同じくらい、企業の商流(バリューチェーンの上流か下流か)の違いも重要です。
一般的に大手SIer企業や自社開発企業など、上流に近いほど、裁量が大きくキャリア形成がしやすくなります。
ただし、就職や転職の難易度は高くなります。
一方、中小規模のSIerやSES企業など、下流であればあるほど就職や転職は比較的に容易です。
そのため、人によっては入りやすい下流企業から始めて、徐々に上流へとシフトしながらキャリアを構築するプランも有効でしょう。
将来的な目標を見据え、段階的に自身のキャリアにふさわしい商流の企業を目指すことをおすすめします。
SIerとは|ITサービスを提供する企業
SIer(システムインテグレーター)は、顧客企業からシステム開発を受託し、要件定義から設計・製造・テスト・運用までを一括して請け負う企業を指します。
おもな業務内容は以下の通りです。
- 顧客からの要件ヒアリングと要件定義
- システム設計(基本設計、詳細設計)
- プログラミング、テスト、導入
- システム保守、運用
SIerの大きな特徴は、さまざまな業種の企業システムに携われる点です。
金融・製造・流通・公共など、多岐にわたる業界の案件を経験できるため、幅広い知見が身につきます。
また、ひとつの案件に長期間関わるわけではないため、短期的なスパンで成果を求められます。
要件の変更や納期対応力など、臨機応変な対応力が身につきやすい環境と言えるでしょう。
SESとは|エンジニアを派遣し技術支援を行うサービス
SES(システムエンジニアリングサービス)は、IT技術者、とくにシステムエンジニアの労働力をクライアント企業に提供する契約形態です。
SES企業は、クライアントのプロジェクトにエンジニアを派遣し、技術支援を行います。
SESの特徴は以下のとおりです。
- 準委任契約に基づき、特定の業務遂行に対して報酬が支払われる
- クライアント企業ではなく、SES企業が労務管理や指揮命令権を持つ
- エンジニアはさまざまなクライアントのプロジェクトに参加し、幅広い経験を積める
SESで働くおもなメリットは、以下の2つです。
- さまざまなクライアントのプロジェクトに参加できるため、幅広い経験を積み、多岐にわたる技術スキルを身につけられる
- 異なるプロジェクトや業界に触れることで、キャリアの選択肢が広がる
一方でデメリットは以下が挙げられます。
- 頻繁にプロジェクトが変わるため、ひとつのチームや組織に長く属することが少なく、帰属意識が希薄になりがち
- 派遣の業態のため、SES企業内でのキャリアパスが必ずしも明確ではない場合があり、自己主導でのキャリア形成が求められる
SESは新しい技術や異なる業界の経験を積みたい人、特定の技術分野で専門性を高めたい人、柔軟なキャリアを望む人に適しています。
多様なプロジェクトでの経験を積みたいと考える人にとって魅力的な選択肢ですが、帰属感の欠如やキャリアパスの不透明さといったデメリットも理解しておくことが必要です。
自社開発とは|自社サービス・プロダクトの企画〜開発〜運用を行う
自社開発とは、企業が自社のサービスやプロダクトのためのソフトウェア開発を、社内の開発部門や開発子会社で行うことを指します。
自社開発の業務内容は以下のようなものが一般的です。
- 新サービス・新製品の企画から設計、開発
- 既存サービス・製品の機能追加、改修
- フロントエンド、バックエンド、インフラなどの全工程を含む一貫した開発
- 運用保守、パフォーマンス改善
自社開発の最大のメリットは、自社のビジネスそのものに深く携わり、付加価値の高い製品開発を行える点です。
企画段階から開発、リリース後の改修にも関与できるため、一連のプロセスを経験できます。
また、自社製品のため、新しい技術の積極的な採用や、自由な開発アプローチが可能です。
社内ノウハウの蓄積や特化した技術の追求も容易です。
一方で、自社製品の成否が開発チームの業績に直結するため、プロジェクトの圧力が大きくなる側面があります。
また、同じ製品に長く関わり続けるため、スキルの偏りが起こりやすいデメリットもあります。
このように、自社開発は裁量権が大きく、付加価値の高い開発に携われますが、その反面で製品の成否により雇用が不安定になるリスクは高いです。
製品への強いこだわりと情熱、新しいものを生み出す創造性が問われる職種と言えるでしょう。
次では、SIer・SES・自社開発それぞれの違いを見ていきましょう。
SIerとSESと自社開発の違い
SIer・SES・自社開発それぞれの職種の違いを、以下の3つの視点から解説します。
- ビジネスモデルの違い
- 責任と契約の違い
- 役割と求められるスキルの違い
SIer・SES・自社開発の三者は、IT業界における異なるビジネスモデルを代表しており、それぞれに特徴があります。
以下の表は、これらの違いを簡潔にまとめたものです。
項目 | SIer | SES | 自社開発 |
---|---|---|---|
ビジネスモデル | 顧客の要望に応じた一貫したシステム提供 | 技術者派遣による技術支援サービス | 自社製品やサービスの内製化 |
責任と契約 | プロジェクト全体の責任 | 個々の技術提供に対する責任 | 製品やサービスの品質保証 |
役割とスキル | プロジェクト管理、顧客折衝、アーキテクチャ設計 | 特定技術の専門性、プロジェクト適応力 | 新技術習得、イノベーション、製品改善 |
年収とキャリアパス | 安定した収入、大規模プロジェクトでのキャリアアップ | 収入変動あり、多様な経験によるキャリアの幅拡大 | 成果に直結する評価、専門性の向上 |
SIerは、顧客のビジネスニーズに合わせて、システムの設計から実装、運用までを包括的に提供します。
SIerで働くには、プロジェクト管理能力や顧客との折衝能力が必要であり、安定した収入と共に、大規模プロジェクトに携わることでキャリアアップが見込めます。
SESは、他社のプロジェクトにエンジニアを派遣し、技術支援を行うサービスです。
SESでの仕事は、特定の技術や言語に関する専門性が求められ、プロジェクトごとに異なる環境に適応する柔軟性が必要です。
収入はプロジェクトによって変動する可能性がありますが、多様な経験を積むことでキャリアの選択肢を広げられます。
自社開発は、自社の製品やサービスを開発することで、新しい技術の習得やイノベーションを推進します。
自社開発では、製品の成功に直結する評価制度があり、専門性を高められるところが魅力です。
ここまでは、SIerとSESと自社開発の違いを解説してきました。
次の章では、それぞれの職種がどのような人に向いているかを見ていきましょう。
SIerとSESと自社開発どっちがいい?おすすめのキャリア戦略
以下の表に、SIer・SES・自社開発それぞれに向いている人の特徴をまとめました。
業態 | 向いている人の特徴 |
---|---|
SIer | 商談や要件定義などの上流工程に関わる機会が多いため、ビジネススキルやマネジメントスキルを身につけたい人に向いている |
SES | 詳細設計や開発工程をメインで担当するため、実装スキルを身につけたい人に向いている |
自社開発 | 自社要員で内製化してシステムを開発するため、長期的な製品開発に興味を持ち、新技術の習得やイノベーションに興味がある人に向いている |
SIerは、顧客のビジネスニーズに合わせたシステムの提供を行うため、プロジェクト全体を見渡す能力と高いコミュニケーション能力が求められます。
SESは、短期間で多様なプロジェクトに携わるため、専門性と柔軟性を同時に発揮できるエンジニアに向いているでしょう。
自社開発は、製品の企画からリリースまでを一貫して行うため、長期的なビジョンを持ち、新しい技術への適応力が求められます。
業態選択と同じくらい、商流の深さもキャリア形成において重要です。
商流が浅い場合は裁量が大きくキャリアを築きやすい環境がありますが、その分、就職や転職の難易度も高くなります。
はじめから希望する上流商流の企業に就職や転職できると良いのですが、希望どおりにいかない可能性があることも事実です。
その場合は、キャリアの最初は入りやすい企業で基礎を固め、経験を積んだ後に上流商流へシフトしていくことをおすすめします。
これにより、実務経験を積みながら徐々により大きな裁量を持つポジションを目指せます。
商流をふまえたキャリア戦略は、以下の記事でくわしく解説しているので、興味がある人は読んでみてください。
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ITエンジニアのキャリアに関してよくある質問
実際に質問されたことがある内容を紹介します。
筆者はSIerに勤務していることもあり、SIerについての質問と回答になります。
Q1.SIerには将来性がありますか?
SIerは激務であったり、多重下請け構造の問題を抱えていたりすることもあり、将来性を不安視する方もいるようです。
結論として、SIer今後も需要が見込まれます。
ITシステムの重要性が高まる中で、SIerは大規模なシステム開発に対応できる強みを持っているからです。
企業が新しいITサービスを展開する場合や、業務システムを更改する際には、SIerの技術力が求められます。
以下の記事で、SIerの将来性について解説しています。興味のある方は読んでみてください。
Q2.SIerはスキルが身につかないって本当?
SESや自社開発ではスキルを身につけられるが、SIerではスキルが身につかないというイメージを持っている方も多いようです。
SIerはスキルが身につかないというのは偏った意見で、実際にはSIerで「身につけやすいスキル」「身につけにくいスキル」があります。
以下の記事で詳細を解説しているので、興味があれば読んでみてください。
まとめ|SIerとSESと自社開発どっちがいいかはキャリアプランしだい
この記事を読んで以下のことがわかりました。
- SIerは、商談や要件定義などの上流工程に関わる機会が多いため、ビジネススキルやマネジメントスキルを身につけたい人に向いている
- SESは、詳細設計や開発工程をメインで担当するため、実装スキルを身につけたい人に向いている
- 自社開発は、自社要員で内製化してシステムを開発するため、長期的な製品開発に興味を持ち、新技術の習得やイノベーションに興味がある人に向いている
- SIer・SES・自社開発のどっちがいいかは、業態を選ぶことだけでなく、商流の深さを理解しそれにもとづいてキャリアプランを立てることが重要
キャリアプランを描くときには、自分自身の希望と現実的な選択肢を照らし合わせ、長期的な視点でキャリアを形成することが成功へのポイントです。
自分の強みや興味、働き方の好みを理解しそれに合った業態を選択することで、充実したITキャリアを築けるでしょう。