仕事を頼むとき、どうやって頼めばいいのか悩んだことはありませんか?
仕事を頼むのが上手な人は、相手にやる気を持たせたり、信頼関係を築いたりすることができます。
一方で、仕事を頼むのが苦手な人は、相手に不快感や負担感を与えたり、協力関係を損なったりすることがあります。
上手く仕事を頼む・頼まれるスキルは、多くの仕事においてとても重要です。
では、どうすれば仕事を頼むのが上手になれるのでしょうか?
この記事では、仕事を頼むときに気をつけるべきポイントやコツを具体的にお伝えします。ぜひ参考にしてみてください。
- 他人に仕事を頼むことに苦手意識がある人
- 仕事の依頼や指示を上手に伝えたい人
- 相手が期待する以上の仕事をしたい人
- コミュニケーションスキルを向上させたい人
良い仕事の頼み方|押さえておくべき3つのポイント
仕事の頼み方が上手くいくと、自分がやりたいことに集中できるだけでなく周りとのコミュニケーションも円滑になります。ここでは、良い仕事の頼み方について考えてみましょう。
- 仕事を頼む前
- 頼む時
- 頼んだ後
それぞれについて整理します。
仕事を頼む前に考えること
まずは、依頼する準備のフェーズを考えます。
自分がやらなければならないことと他人に任せられることを見極める
仕事を頼む前に考えることは、自分がやらなければならないことと他人に任せられることを見極めることです。
自分がやらなければならないこととは、自分の役割や責任に直結することや、自分の得意分野や専門性を発揮できることです。
一方で他人に任せられることとは、自分の役割や責任に直結しないことや、他人の得意分野や専門性を活用できることになります。
システム開発現場でよくある例としては、プロジェクトリーダーが現場作業に偏ってしまうことが挙げられます。
プロジェクトリーダーが作業に時間を費やしてしまうことで懸念されるのは、各メンバーの指示だしやフォローなどが滞ってしまうことです。そうなると、チーム全体の進捗や品質に影響を及ぼします。
自分がやらなければならないことと他人に任せられることを見極め、適切な相手に仕事を頼むことが重要です。
頼む内容や期限を明確にする
期限が不明確だと、優先度が低く感じられて他のタスクに取り組まれたり、期待する納期に間に合わなかったりする可能性があります。
相手に頼む理由・相手のメリットを明確にする
仕事を依頼する際には、その理由と相手のメリットを伝えることも重要です。
タスクを頼む理由が明確でないと、相手はそのタスクの意義や価値を感じず、モチベーションが低下したり、不信感や不満を抱いたりする可能性があります。
また、相手がその仕事を引き受けるメリットが明確だと、自発的に取り組んだり工夫したりする可能性があります。
相手の気持ちや状況を考慮する
相手の気持ちや状況を考慮することで、相手への配慮が示されて、信頼関係や引き受ける意義を高めることができます。
一方で相手の気持ちや状況を無視すると、相手に反感を持たれて協力を得られなかったり、関係性を損なったりする可能性があります。
着地地点(妥協できる範囲)を考えておく
すんなりと依頼を受けてくれそうにない場合は、予めどの程度なら妥協できるのかを考えておくことが大切です。
具体的には、質と納期で着地地点をイメージしておきます。
質とは、どのくらいまでなら仕上げられるかです。提案書のパワーポイント資料を例に挙げると、自分の理想としては10ページ作成してほしいけど、最低でも5ページは作ってくれるならそのままこの人に依頼しよう。と決めておきます。
納期は、いつまでなら待てるかです。自分の理想は2日で仕上げてほしいけど、4日までならなんとか待てるので依頼しよう。とあらかじめ決めておくことが重要です。
この範囲に入るなら予定どおり依頼し、調整がつかなかったら別の人に依頼するなどの代替案を考えます。
仕事を頼む時のテクニック
続いて、仕事を依頼するときに覚えておくと助かるテクニックを解説します。
5W3Hで具体的に要件を伝える
5W3Hは、
「Who(誰が)」「What(何を)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「Why(なぜ)」
「How(どのように)」「How much(どれくらい)」「How many(何個)」
の略です。
仕事を頼む時には、これらの要素を具体的に伝えることで相手に仕事の内容や目的、期待する成果などを明確に理解してもらうことができます。
設計書の作成をプロジェクトメンバーへ依頼する時の例を、5W3Hに当てはめてみます。
- Who(誰が)
山田さんと佐藤さんが担当してください。 - What(何を)
INPUTは顧客からの要件定義資料です。これをもとに、システムの機能や仕様を詳細に記述した設計書を作成してください。 - When(いつ)
来週の月曜日までに完成させてください。 - Where(どこで)
作業場所は在宅ワークで構いません。作成した設計書は、社内の共有ドライブに保存してください。 - Why(なぜ)
設計書はプログラマーがシステムを開発するための重要な資料です。また、顧客との打ち合わせや確認にも必要です。 - How(どのように)
社内の設計書テンプレートに沿って記入してください。不明な点や相談事があれば、私に連絡してください。 - How much(どれくらい)
設計書のページ数は、過去に作成した類似事例と同じ程度にしてください。 - How many(何個)
システムの機能や仕様は、それぞれ別々の設計書にまとめてください。設計書の数は、社内の設計書テンプレートに合わせてください。
と依頼内容をまとめると、具体的で依頼を受ける人の負担を軽減できます。
5W3Hで要件を伝えることで、相手が仕事を効率的かつ正確に行えるようになります。また、相手とのコミュニケーションも円滑になります。
仕事を頼む時は、5W3Hを意識して要件を伝えるようにしましょう。
仕事を頼んだ後にすること
仕事は頼んだら終わりではありませんので、続いて仕事を頼んだ後にすることを確認します。
相手の進捗状況や困りごとをフォローする
仕事を頼んだ後は、相手の進捗状況や困りごとをフォローすることが大切です。
相手の進捗状況や困りごとをフォローすることで、仕事の品質やスピードを向上させることができます。また、相手に気遣いやサポートを示すことで信頼関係やチームワークを強化することができます。
完了後は必ず感謝を伝える
完了後は必ず感謝を伝えることで相手のモチベーションや満足度を高めることができます。感謝の言葉やメールなどで伝えましょう。
相手の貢献や成果をフィードバックする
頼んだ仕事が完了したら、その成果に対して適切なフィードバックを行うことはとても大切です。
今後の業務においても役立つ情報をフィードバックすることで、相手の成長やスキルアップにもつながります。
良い仕事の頼まれ方|”5W3H”をチェックシートとして活用
仕事は多くの人と関わりながら進めるため、他の人に頼むことがあれば頼まれることもあります。
前述した良い仕事の頼み方の内容は、良い仕事の頼まれ方に活かすことができます。
依頼内容チェックシート
「5W3Hで具体的に要件を伝える」を依頼を受ける時のチェックシートとして活用します。
仕事の依頼を持ちかけてきた内容に対して
「Who(誰が)」「What(何を)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「Why(なぜ)」
「How(どのように)」「How much(どれくらい)」「How many(何個)」
という5W3Hの情報が揃っているか確認し、不足があれば認識を合わせましょう。
依頼の具体的な内容や、依頼する人の期待値について把握することで、仕事を円滑に進めることができます。
良い仕事は、相手の期待値を”超える”
仕事を頼まれた相手と良い関係性を築きたい場合は、相手の期待値を超えることが大切です。
上司、同僚、取引先、顧客など、ビジネスは基本的に相手の期待値を上回ることを目標にします。
特に、相手が品質や納期など何を重要視しているかを把握し優先的に取り組むことで効果的に期待値を超えられます。
そもそも仕事の頼み方を考えるがなぜ重要なのか
自分だけで仕事を抱え込んでしまうのか、うまく人を巻き込んで仕事を進めることができるのかの違いで仕事の成果は大きく変わります。
仕事の頼み方について考えてみましょう。
そもそも、なぜ仕事を頼む必要があるのか?
他の人に仕事を頼む必要性は、主に以下の3つの理由があるからです。
- 自分の能力や時間に限界があるから
- 他者の専門知識やスキルを活かせるから
- チームワークやコミュニケーションを向上できるから
自分の能力や時間に限界があるから
例えば、リーダー自らが手を動かしてしまって、チームのボトルネック(業務の停滞、生産性の低下を招くポイント)になってしまうことはプロジェクト現場において珍しくありません。
リーダーが枝葉の業務に取り組むと、チームとしての道筋を誤ったり遠回りする可能性があります。
自分だけでやるのはスピードや品質に限界があるため、チームのメンバーと仕事をシェアしながら推進する必要があります。
他者の専門知識やスキルを活かせるから
仕事をする上で、単純なプロジェクトはほとんどありません。様々なスキルや知識を持った人が必要になること一般的です。
一人で全てをカバーすることは難しいですし、スキルや知識でカバーできたとしても作業量がこなせないこともあります。
プロジェクトチームは専門性を持ったメンバーで体制を構築しますので、一人で全てを引き受ける必要はありません。
周りには自分よりも詳しい人や得意な人がいますので、そのような人たちの力を借りてチームとしてパフォーマンスの最大化を目指しましょう。
チームワークやコミュニケーションを向上できるから
多くの仕事は、社内外の様々な関係者と協力しながら進めていく必要があります。
そのため、人に仕事を頼んだり助け合ったりすることは、チームワークやコミュニケーションを向上させる効果があります。
相互理解や信頼関係が深まれば、仕事もスムーズに進みますし職場の雰囲気も明るくなります。
振り返り|断りたくなるような仕事の頼み方
仕事の頼み方を考える前に、まずは自分がされて嫌な頼み方を振り返ってみましょう。
相手が断りたくなるような頼み方をしなければ、結果的に良い仕事の頼み方につながります。
筆者の意見では、自分のためにならない、もしくは自分のためになるのか分からない仕事の頼み方が断りたくなるのだと思っています。
そもそも人は自分のためにしか動かないという習性を持っています。一見相手の頼みごとを受け入れていても、それは自分の役割を果たすためだったり、更に根本は自分の希望や欲求を満たすためです。
そのため、自分のためにならない、自分のためになるのかよく分からない仕事を頼まれるのは不快に思います。
断りたくなるような仕事の頼み方について、いくつか例を挙げます。
状況や気持ちを考慮しない
「ちょっと今すぐこちらに来てください。会議で使う資料が必要で直前になってしまいました。」
というような依頼は、こちらの状況を考慮していません。
今取り組んでいる仕事への配慮が不足していますし、急な依頼はストレスになります。
能力や専門性を無視されている
「君はシステムエンジニアだから、ネットワークやサーバーのこともわかるよね。」
「君はITのことなら何でもできるんだろう。この電話機の故障も直してくれ。」
「君は新しい技術に詳しいんだろう。この古いシステムを最新のものにアップグレードしてくれ。」
というような頼み方は、システムエンジニアの能力や専門性を一括りにして、関係ない仕事を押し付けています。
また、システムエンジニアの役割や責任を理解していないことも伺えます。
これでは、自分の価値や尊厳を踏みにじられているように感じてしまい断りたくなります。
目的が曖昧
「このシステムをもっと良くしたい。」
「この仕様書をもっと分かりやすくしてくれ。」
「このシステムをもっと安全に、便利にしてほしい。」
このような頼み方は、何を求めているのか、どのような効果や目標があるのかが不明確です。また、現状の問題点や改善点が具体的に示されていません。
これでは、依頼を受ける側の人は何をすればよいのか、どこに着手すればよいのかがわからず断りたくなります。依頼する人は、依頼内容を伝える責任があります。
以上から、断りたくなるような頼み方は、相手に不快感や不信感を与え協力的になってもらえないことがわかります。
逆に言えば、相手に配慮した頼み方をすれば、相手も快く引き受けてくれる可能性が高まります。
仕事でのコミュニケーションについて参考になる本
仕事を依頼する、依頼を受けるというコミュニケーションについては、本を読むことでコツを学ぶことができます。
数ある書籍の中から、ぜひ読んでほしい一冊をご紹介します。
コンサル一年目の教科書
コンサル出身の著者が、社会人一年目からベテランまで普遍的に役立つビジネススキルをまとめた本です。
相手の期待値を把握する・期待値を超えるといった内容も体系的に解説しているのでおすすめです。
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まとめ|仕事の頼み方を心得て気持ちよく働こう!
この記事では、仕事の頼み方を考えることの重要性、良い仕事の頼み方・良い仕事の頼まれ方を解説しました。
仕事を依頼する・依頼されるスキルを磨くことは、自分の仕事の効率や質を高めるだけでなくチームや組織の成果にも大きく影響を与える重要なことです。
ぜひ参考にしてみてくださいね。